これで安心!熱中症予防 医師が教える有効な対策3選

この記事を書いた人:
黒沢哲生(千葉中央メディカルセンター) 医師

暑い季節、頻繁に流れる熱中症のニュース。

病院にも運ばれてくる人が後をたちません。本当に有効な対策を実践できている人は意外に少ないのではないでしょうか。

熱中症になってしまう原因と、効果的な3つの対策についてお話します。

  

✔︎ 家でも熱中症対策は必要?
✔︎ 冷房の上手な使い方は?
✔︎ 先生、オススメの飲み物を教えて!
✔︎ 外出する時の熱中症対策のポイントは?
✔︎ もし熱くなってしまったら、どこを冷やすのが効果的?

今回はこんな疑問にくわしくお答えします!

それでは具体的に説明していきます。

  

夜は必ず冷房を! 冷房の上手な使い方とは?

暑さ対策は屋外だけでなく、室内でも必要だって知っていましたか?

家にいるとき、特に注意が必要な時間帯は「夜」なんです。

最近の住宅は機密性が高く、そういったお家では日中の暑い日差しによって、家の天井や壁に熱が蓄えられます。特にコンクリート造の家・マンションでは熱が冷めにくく、夜になると放射熱となって室内に流れこみ、室温が上昇します。

夜は寝ていて暑い空間にいることに気づかず、睡眠中に汗で水分とミネラルが失われ、その結果熱中症になります。

※医学ではこれを「非労作性熱中症」といいます。特に高齢者に多いです。

節電も大事ですが、夜に冷房をつけずに暑い室内で就寝し、救急車で搬送されるケースは少なくありません。

地球温暖化の影響もあると言われていますが、近年の夏は気温が35℃を超える日もまれではなくなっています。特に暑さを感じにくい高齢者や、体温調節機能が未熟な子どもは注意が必要です。

〜冷房の上手な使いかた〜
 
1. 温度は寒いと感じない数値で 風量は『弱』
 ※部屋の大きさなどによっても異なりますので、試しながら調節してくださいね
 
2. 風向は『上』へ向けて
 冷たい空気は下に降ります。風向を上にして部屋全体が涼しくなるようにしましょう
 
3. 直接体に冷房の風を当てないこと
 風が当たった場所はとても冷えてしまい、風邪をひく原因になります
 

 

水分に加え、ミネラルの補給が必要! 何を飲めばいい?

熱中症では水分とともにナトリウムなどのミネラルが失われています。汗をかいた時に水とともに体から出ていってしまうからです。しかもミネラルは体内で作ることができません水分とミネラル(特にナトリウム)のバランスの崩れが熱中症の引き金になります。

喉が渇いた、ちょっと頭がぼーっとしてきた、頭が痛くなってきた、などの症状が現れた時にはすでに相当な水分・ミネラルが体から失われています。そうなる前に外出時には飲み物を携帯し、こまめに補給する必要があります。では日常的に何を飲んでおいたらいいか?

オススメは麦茶です。

麦茶には他のお茶と比較してミネラルが豊富に含まれています。しかもカフェインはゼロです。糖分も含まないため、日常的に飲む際、虫歯の心配もいりません。

まさに普段から携帯しておくべき、熱中症に最も有効な飲み物と言えるでしょう。

ミネラルたっぷり【健康ミネラル麦茶】

 

〜熱い屋外で運動をしている時の水分摂取の目安とは〜
 
子どもの場合、20分おきにコップ1杯(200mL)
 
大人の場合、30分おきに500mLペットボトル1本分(500mL)
 
の飲水が目安になります。参考にしてください。
※運動の程度によりますので、喉が渇いているときはこまめに補給するようにしてくださいね。

  

もしも熱中症のような症状があらわれたら、その時は麦茶が最適とは言い難いです。

熱中症のような症状があったら

熱中症のような症状とは
暑いところで意識がぼーっとする・頭が痛い・吐き気がするといった場合です。また他にも自分でおかしいと思ったらすぐに対処しましょう。飲めないほど具合が悪い場合は救急車を呼ぶべきです。
 
飲水できる場合は、経口補水液(「OS-1」など)を飲みましょう!
 
※速やかに水分・ミネラルを体内に吸収させる必要があり、その際は糖分の摂取が有効だからです。

 

すばやい水分・ミネラル吸収に!【経口補水液OS-1】

涼しい服・こまめな休憩

外出の際は、熱を逃すことができるよう、必ず涼しい服を選びましょう。キーワードは『吸水速乾』です。

吸水速乾の衣服は現在ではポリエステルが使われていることがほとんどです。

前にお話ししたように熱中症は夜も注意が必要です。寝ている時にも汗をかきますので、速乾性のパジャマを選ぶようにして効率よく放熱できるようにするとよいでしょう。寝汗が冷えて風邪をひいてしまうことも防げるはずです。

また、こまめな休憩も忘れずに。この時に水分補給(+ミネラル補給も大事でしたね)するようにすれば良い習慣だと思います。

 

体が熱い! どこを冷やすのが効果的?

体が熱い、汗をすごくかく。などの症状があったら黄信号。日陰に移動して体を冷やしましょう。

体を効果的に冷やすには、大きな血管が走る部位を冷やすことです。血管は全身を巡るため、血液を冷やすことができれば体全体を効率よく冷やすことができます。

大きな血管が体表を走っているのは、首・脇の下・膝裏・足首などです。

靴下は脱ぎましょう。また、冷えたタオルを首にかけるのがオススメです。

体表にある中で最も太い頸動脈・頸静脈が首もとに走っているからです。また首にタオルをかけるくらいならあまり人目も気にならず、手早く行えます。最も効果的な冷却方法と言えます。

冬にはマフラーを巻いて体を温めますよね?その逆の発想です。

  

首もとの冷却に!【ビオレ 冷シート 冷タオル】

 

熱中症対策 3選
  1. 暑い日の夜は必ず冷房を使う!
  2. 水分だけでなくミネラル補給も 『オススメは麦茶』
  3. 外出するときは涼しい服、こまめな休憩を 『冷やす場所は首もと』

 

皆さんはこれらのこと、実践できていましたか?

しっかりと対策して、暑い夏を乗り切りましょう!

 

この記事の参考文献
熱中症ガイドライン2015
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf

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