すぐに病院へ!続く下痢は要注意 危険な5つの症状【医師が解説】

この記事を書いた人:
黒沢哲生(千葉中央メディカルセンター) 医師

下痢が続くとき、いつ病院に行くべきか悩む事ありませんか?

下痢には様々な原因があって、自宅で十分に対処できることもありますが、病院に行かないと危険なこともあります。

危険なサインを見逃してはいけません。5つに絞ってお話しします。

 

危険なサインはこの5つです

1. お腹が張って嘔吐を繰り返す ”水も飲めていない”

2. 腹痛が強い ”歩くと響く”

3. 血便が出る

4. 2週間以上続く

5. 家族から見て、様子がいつもと違う

これらどれか1つでもあったら、すぐに病院に行くべきです。

ひとつずつ説明していきましょう。

 

①お腹が張って嘔吐を繰り返す ”水も飲めていない”

お腹が張って頻繁に嘔吐してしまう場合は感染性腸炎がひどくなって腸の動きがかなり鈍っている(麻痺性イレウスといいます)可能性があります。または他の原因で腸閉塞になっている場合などです。

自分で飲水しても腸で吸収される前に全て吐いてしまうはずです。

体がどんどん脱水になってしまいますからそのまま様子を見るのは危険です。

病院で点滴を行い、直接失われた水分・ミネラルを補給することが必要です。水も飲めない場合は一般的に入院の適応になります。

 

②腹痛が強い ”歩くと響く”

腹痛が強い場合、かなり強い炎症があることが予想されます。

“歩くと響く腹痛”がある時、腹膜(腹部内臓全体を覆っている膜)にまで炎症が広がったことも考えられます。

腹膜炎と言って、重症のサインです。

お腹のどの辺りが痛いかによって考えられる病気は異なりますが、この場合は緊急性が高いです。

急いで適切な診断・治療をする必要があるので、すぐに病院を受診するようにしてください。

 

③血便が出る

下痢に加えて血便が出てきた場合は、以下の可能性が考えられます。

・感染性腸炎 重症 O-157など
・特殊な腸炎(虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など)
・大腸癌

他にも稀な病気で血便が出てくる場合もありますが、いずれの場合でも病院で正しい診断を行い、早期に治療を開始する必要があります。

大事なのは下痢がある場合、毎回トイレで流す前に毎回色や形状を観察することです。

 ・血液まじりでないか?

 ・これまでの便と比較して便が形になってきているか、まだ軟らかい便が続いているのか?

などチェックするようにしてみてください。普段はそんな習慣はないと思いますが、自宅でできることですし、便は重要な情報です。出ている便がどんなものであるかも病院を受診した際先生に伝えてみてください。可能であればスマートフォンで「写真」をとっておくとなおよいでしょう。

 

④下痢が2週間以上続く

下痢が2週間以上続く時、ただの「胃腸炎」ではない可能性が高くなってきます。普通の「胃腸炎」すなわち感染性腸炎の場合、正しい対処を行えば2週間以内に症状が改善してくることがほとんどだからです。

ではその場合はどんな病気が考えられるのか。稀な病気まで考えればいくつも列挙できますが、そのうち比較的頻度が高いものだけ挙げるとすれば以下のようになります。

 薬剤性腸炎: 最近開始された薬の副作用(特に抗生物質・胃酸を抑える薬・鎮痛薬など)

 潰瘍性大腸炎・クローン病: 自分の免疫が誤って自分の腸を敵と誤認識して攻撃してしまうことで起こります

 大腸癌: 癌で腸が塞がり便秘になることもありますが、炎症がおこって下痢が続く場合もあります

 過敏性腸症候群: 腸の動きが過敏になることで、腹痛や下痢が長期間に渡って続きます

他にも牛乳や飲酒が原因となるものなど様々ありますが、これらは病院できちんと診察・検査を受け、早期発見・早期治療をすることが必要です。長引く下痢があれば病院にいきましょう。

 

⑤家族から見て、様子がいつもと違う

最近家族が下痢をしている、お子さんが下痢をしている、などといった場合はいつも以上によく様子をみてあげるようにしてください。

下痢が続くと水分・ミネラルが失われますから脱水になりやすくなります。

自分で十分な量の水分を飲めないお子さんや、喉の渇きを感じにくい高齢者は特に脱水になりやすい傾向になります。そのため、

普段と比べてぼーっとしている

呼びかけてもはっきりとした反応が見られない

などの様子があればすぐに一緒に病院を受診するようにしてください。救急車を呼ぶべき状態です。

 

このような5つの症状が見られる場合は、ただの軽症の胃腸炎ではない可能性が高いです。

重症であったり、下痢を起こす重大な病気がある可能性も疑われますので、早く病院を受診するようにしてください。

正しく対処し、危険なサインが見られる時はすぐに診察・治療を受けるようにしましょう。

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