【肝臓の数値が高い】脂肪肝の症状とは?その原因や問題点を解説

  

この記事を書いた人:
▶️ 黒沢哲生(千葉中央メディカルセンター) 医師

健康診断で脂肪肝、または肝臓の数値が高いと言われたことはありませんか?
実は日本人の3人に1人が脂肪肝と言われているんです1)

でも先生、症状はないし…。

お酒や脂っこい食事を控えれば大丈夫じゃないですか?

と思われる方もいらっしゃるかもしれません
しかし、脂肪肝には正しい対処が必要で、放置しておくのはとても危険なのです

 
今回は、脂肪肝について知っておくべきキホンをお話しします。

脂肪肝は何か症状が出るの?
脂肪肝になってしまった原因は何?
放置してはいけないのはなぜ?

今回はこのような疑問に答えます。

 

脂肪肝の症状とは?

スリープ fatso - だるい 肥満 ストックフォトと画像

脂肪肝とは、その名の通り肝臓に脂肪が多く溜まった状態です

健康診断で指摘されて気づく人が多いと思いますが、それもそのはず

特徴的な症状はありません

 

また脂肪肝になったからといって身体に現れる変化もないのです

そのため健康診断をして始めて気づかれることが多く、「隠れ脂肪肝」とも呼ばれます

健康診断で多いのは採血で【肝臓の数値が高い】ことがわかり、その原因を調べるために腹部エコー検査などをして脂肪肝の診断に至るケースです

私はそんなに取ることができます。 - 眠い 男 ストックフォトと画像

脂肪肝による特徴的な症状はないものの、脂肪肝を患っている人は倦怠感、不眠症が多いことがわかっています

それは脂肪肝による症状ではなく、脂肪肝の人に併存している病気によって起こる症状です

脂肪肝の方によくみられる病気
✔︎ 心臓病
✔︎ 慢性腎臓病
✔︎ 睡眠時無呼吸症候群 など

これらを病院で指摘されたことはありませんか?

もし当てはまる方がいたら、脂肪肝にもなっているかもしれません

心臓病や腎臓病を持っていると疲れやすくなりますし(倦怠感)睡眠時無呼吸症候群は不眠の原因になります

そこで精密検査をしてみると脂肪肝も見つかるというワケです

 【脂肪肝の症状 まとめ】
●特徴的な症状はない!
●脂肪肝となっている場合、多い症状は「倦怠感」「不眠」
(脂肪肝自体の症状とはいえない)

 

脂肪肝の原因

脂肪肝の主な原因は飲酒・肥満です。

飲酒

暗い背景に新鮮で冷たいビールのグラス - ビール ストックフォトと画像

多量の飲酒をしていたら肝臓が悪くなるのは想像に難くありません

アルコールは肝臓で代謝され有害なアセトアルデヒドとなり、

これが酵素によって解毒されます

日本では他国と比較してその分解酵素の働きが弱い人が多いです

そのため多量の飲酒によってアセトアルデヒドが蓄積しやすく、活性酸素を介して肝臓にダメージが蓄積することになります

その結果、脂肪の蓄積が促され脂肪肝となるのです

 

国の推奨する飲酒量はエタノール換算で

男性:20g/日 女性:10g/日

となっています。

これがお酒の種類別にどのくらいの量になるか、以下の表を参考にしてください。

ビール(5%)チューハイ(7%)ワイン(12%)日本酒(15%)焼酎(25%)ウイスキー(43%)
500mL350mL200mL(グラス2杯)1合(180mL)100mLダブル(60mL)
適度な飲酒量(エタノール換算 男性:20g/日 女性:10g/日)

意外と少ないと思われた方も多いのではないでしょうか

1日あたりこれくらいの量に抑える必要があります。

この倍の量になると飲酒量は多いと言わざるをえず、脂肪肝を含め生活習慣病のリスクも高くなると言われています。

でも先生! 少量のお酒は体に良いと聞いたことがあるよ!

ちょっと待ってください。確かに健康成人では少量の飲酒が心血管病を減らすと言う報告があります。

しかし脂肪肝がある場合、少量の飲酒が心血管病のリスクを減らすことはなく、脂肪肝を悪化させることもあると報告されています。2)

脂肪肝がある方はお酒との付き合い方をちょっと考えた方が良さそうです

お酒に弱い人、強い人、など様々ですからアルコール少量摂取の影響は人によって異なるはずです。あまり無理せず上手にお酒と付き合っていきましょう。

肥満とメタボリックシンドローム

近年、お酒をあまり飲まないのに脂肪肝になっているNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)が問題になっています。飲酒量の少ない脂肪肝の方は肥満メタボリックシンドロームを背景に持っていることが多いです。

“メタボリックシンドローム” とは

  • 内臓脂肪の蓄積に加え、脂質異常、高血圧、高血糖のいずれか2つを併せもつ場合に診断されます。

いわゆるメタボです

生活習慣病によって引き起こされ、心臓病や腎臓病、脳卒中などさまざまな病気の原因になります

近年、日本ではメタボを指摘される人の割合は増加し1400万人を超えています


特に内臓脂肪量が増えるほど肝臓に貯留する脂肪量も増えていくことがわかっています2)。また脂質(特に飽和脂肪酸)の過剰摂取が脂肪肝の発症に大きく影響します。

有効な対策【食事と運動療法】

食事のポイント

食事のポイントは

✔︎ 低カロリー食(目安:カロリー量30%減)
✔︎ 制限するのは脂質と炭水化物のどちらでも良い
✔︎ 脂質は不飽和脂肪酸(魚肉・植物油)をメインに
✔︎ できれば1日2杯のコーヒーを

です。

食事は好みや習慣もあって、適したカロリー制限法は人それぞれになりますが、脂肪肝に有効だとわかっているのは「地中海式ダイエット」です。

【徹底解説!地中海式食事法】地中海式ダイエットとは 減量・脂肪肝に効果あり!

運動のポイント

運動療法の目安は

1日30分の有酸素運動(ジョギングなど)を週3〜4日

仕事などもあってなかなか運動する機会がとれない方も多いと思いますが、実践しやすいのは

✔︎ 通勤を速歩で行う
✔︎ 駅や会社・商業施設ではなるべく階段を使う
✔︎ 休日にジョギングする時間を確保する

です。これは実際に外来を受診される患者さんが実践している方法で、継続しやすいためオススメです。

まず始めやすいのはウォーキングだと思います。こちらにその方法をまとめておきましたので参考にしてください

【ただ歩くのは効果薄】ダイエットのための正しいウォーキングとは【医師が解説】

一番大事(かつ難しい)のはこれを継続して行うことです。何より継続が最も大切です。どんな方法でもいいので週の半分、30分〜1時間を運動に当てるように工夫してみてください。

MEMO
【2次性脂肪肝とは】
飲酒をせず生活習慣も良いのに、他の原因で脂肪肝になることもあります。
これは比較的頻度の低い病気が原因です。この場合、病院で精密検査を受けなければ正しい診断がつきません。特別な治療が必要になることもあります。このカテゴリーに分類される脂肪肝を見逃さずに早期に治療を開始することが重要です。脂肪肝と言われたら、必ず病院を受診して一度はきちんと医師に診断してもらうようにしてください。
病院にかかる時、選ぶ診療科は「消化器内科」です。

脂肪肝 放置すると何が問題?

健康な、脂肪肝、線維症、肝硬変から肝癌までの肝障害の段階。医療インフォグラフィック、肝臓病のアイコンは、白い背景に分離されたフラットなデザインで。 - 肝硬変点のイラスト素材/クリップアート素材/マンガ素材/アイコン素材

脂肪肝があると、健康な人と比べて死亡率が高いことが報告されています。3)

脂肪肝であれば改善も可能ですが、これを放置すると徐々に肝臓に脂肪が蓄積して肝硬変になり、肝臓が機能不全に陥ってしまいます。そして発癌率も高くなります。

脂肪肝から肝硬変になると年間の発癌率は2〜3%にもなります。

100人いたら少なくとも2人に癌ができるわけですから、放置するのは危険です。

また問題は肝臓のみにとどまらず、心臓病なども合併しやすくなります。脂肪肝と指摘されたら、必ず病院を受診して医師の診断と適切な検査・治療を受けましょう。

病院に通うと定期的に採血や腹部超音波検査をして肝臓の状態を確認してもらえます。また医師から食事や運動療法の適切なアドバイスをもらうこともでき、何より良い生活習慣を維持するモチベーションになるはずです。

まとめ 脂肪肝の症状・原因と問題点

今回お話した脂肪肝のポイントについてまとめます

✔︎ 脂肪肝に特徴的な症状はない!(だから問題「隠れ脂肪肝」)
✔︎ 脂肪肝の原因は飲酒と肥満・メタボ
✔︎ 放置すると肝硬変に進行したり、発癌するリスクが高くなる
✔︎ 対策:お医者さんと一緒に治療しよう!

健康診断で指摘されたことはあるけど通院していない…

メタボと言われたけど生活習慣を変えていない…

という方は今からでも遅くありません

できることから生活習慣を変え、病院を受診して治療を始めましょう!

 

 

この記事の参考文献
1)Eguchi Y, et al. Prevalence and associated metabolic factors of nonalcoholic fatty liver disease in general population from 2009 to 2010 in Japan: a multicenter large retrospective study. J Gastroenterol 2012; 47:586-595
2)VanWagner LB, et al. Alcohol Use and Cardiovascular Disease Risk in Patients With Nonalcoholic Fatty Liver Disease. Gastroenterology 2017;153: 1260-1272
3)Musso G, et al. Meta-analysis: natural history of non-alcoholic fatty liver disease(NAFLD) and diagnostic accuracy of non-invasive tests for liver diseases severity. Ann Med 2011; 43:617-649

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA