この記事を書いた人:
黒沢哲生(千葉中央メディカルセンター) 医師
胃カメラを受けるとき、「鼻から入れてもらうと楽に検査を受けられる」と聞いたことがある人は多いと思います。楽にできるのであればそれに越した事はありません。
楽に胃カメラを受けたい時は、
- 鼻から胃カメラを入れてもらう
- 鎮静剤を点滴して眠っているうちに胃カメラをしてもらう
の2通りの方法があります。
今回は鼻からの胃カメラのメリットとデメリットを解説します。
目次
胃カメラはなぜつらい?
胃カメラは口または鼻からスコープ(柔らかい棒状のカメラ)を入れて食道→胃→十二指腸を観察する検査です。
検査中につらいと感じるポイントが主に4つあります。
- 喉を通過する時 : 嘔吐反射が出て”オエッ”とえづいてしまう
- 胃に送気される時 : 観察のため胃に空気を入れ膨らませるときお腹が張る
- 胃が押される時 : 胃➡︎十二指腸へスコープを進めるとき、胃が押される
- 検査中ずっと : 検査中は喉にスコープが通っており、 “大きな飴がつかえているような違和感” がずっと残る
鼻からの胃カメラ「経鼻内視鏡」の実際
鼻から胃カメラを入れる場合、鼻の中の狭い箇所を挿入していくため内視鏡スコープも細いもので行います。
口から入れる内視鏡は直径約9〜10mmですが、鼻から入れるスコープの直径は約5〜6mmです。数字で見るとわずかな差かもしれませんが、実際にスコープを飲んでみると感じ方の違いは明らかです。
特に、上に挙げた①と④のつらい感覚は明らかに減ります。
通常、胃カメラは
「経口内視鏡」 通常行われる口からの胃カメラ
「鎮静剤」 鎮静剤を点滴して行う口からの胃カメラ
「経鼻内視鏡」 鼻からの胃カメラ
のいずれかで行うことになります。
3種類それぞれの特徴をまとめます。
経口 | 鎮静剤 | 経鼻 | |
意識 | ある | ない | ある |
検査中の会話 | できない | (寝ている) | できる |
嘔吐反射 | ある | (少ない)⬅︎感じない | 少ない |
息苦しさ | ある | (ない)⬅︎感じない | 少ない |
生検(組織検査) | できる | できる | できる |
メリットとデメリット
鼻からの胃カメラ「経鼻内視鏡」で検査を受けるメリットは、とにかくスコープが細いことです。
メリットは
✔︎ 検査中に会話ができる。(先生とコミュニケーションがとれる)
デメリットは
(大抵の人はスコープは問題なく通れます)
✔︎ 鼻の痛みや鼻出血が起こることがある
✔︎ 喉の違和感はゼロにはならないので、嘔吐反射は少しでも苦手という人には向かない
デメリットが気になる人は、鎮静剤を用いた胃カメラをお勧めします。
現在では内視鏡技術が進歩し、経鼻内視鏡でも十分に画質の良いものが発売されています。医療機関によるでしょうが、今はあまり画質の心配はしなくて良いでしょう。
参考に別の記事を載せておきます。この記事⬇️の後半に鎮静剤を使用した胃カメラについて詳しく載せているので参考にしてください。
知っておきたい!胃カメラの費用 鎮静剤は使うべき?
苦しくない胃カメラを受けるには
楽に胃カメラ検査を受けたい場合、やはり
- 鼻から胃カメラを入れてもらう
- 鎮静剤を点滴して眠っているうちに胃カメラをしてもらう
のどちらかになります。
鼻からの胃カメラでは人によっては痛みを感じる人もいるので、何も痛みなどを感じずに検査を受けたいという人は鎮静剤を使用した胃カメラの方が良いでしょう。
そして、検査をする先生のテクニックや声がけ、介助してくれる看護師さんの対応も苦しくない検査には欠かせません。今回は鼻からの胃カメラ検査の特徴に的を絞ってお伝えしましたが、楽な検査を受けたい場合、上手で優しい先生がいるクリニック・病院を選ぶことも大事なポイントとなるでしょう。
また、最近はカプセル内視鏡、AI技術を組み合わせた内視鏡など開発が進んでいます。いつか、もっとずっと楽に検査を受けられる時代が来るといいですね。
✔︎ 鼻からの胃カメラ【経鼻内視鏡】は細いから、喉への刺激が少ない!
✔︎ 人によっては鼻の中が狭く、痛みを感じることも!
✔︎ 痛みや苦しさを感じずに楽に検査を受けたい人は、鎮静剤の使用がオススメ