知っておきたい!胃カメラの費用 鎮静剤は使うべき?

この記事を書いた人:
黒沢哲生(千葉中央メディカルセンター) 医師

「胃カメラっていくらかかるの?検査時間はどのくらい?」「楽に受けたいんだけど、鎮静剤を使った方がいいの?」今回はこのような疑問にお答えします。

また、胃カメラを受ける前にぜひ知っておきたいことをまとめます。

胃カメラ検査とは なぜ必要?

胃カメラは口または鼻からスコープ(柔らかい棒状のカメラ)を入れて胃内を観察し、癌などの病気がないか確認する検査です。

喉から食道・胃を通過し、十二指腸まで観察できるので、胃以外の病変の診断も同時に行うことができます。これら消化管の中は他の検査では十分に評価することができません。

胃癌は進行すると手術で胃を切除しなければなりませんが、早期であればお腹を切らずに胃カメラで癌を剥ぎ取って完全に治すことができます(ESDという治療法です)。手術を受けると痛みもありますし、その後切除した胃で生活する上で食事の制限が出ることがあります。

胃カメラで早期発見・早期治療を行うことが必要なのです。

費用

3割負担1割負担
胃カメラ(観察のみ)4000円1500円
観察+生検 9000〜12000円3000〜4000円
胃カメラの費用

胃カメラの費用は3割負担で約4,000円、生検も行うと9,000〜12,000円となります。

1割負担では約1,500円、生検も行った場合3,000〜4,000円となります。

胃カメラを行った際、正確な診断をつけなければいけない病変があった場合は「生検」(一部の組織を採取)して、「病理検査」(採取した組織を顕微鏡で観察して診断)を行うことがあります。例えば、胃潰瘍や癌を疑う場合です。

これを行うと費用がかなり増えますが、癌など怖い病気がないかどうかしっかり診てもらえることを考えれば安いものです。

もし癌を放置してしまったら…人生を左右する結果になるかもしれませんし、もっとお金はかかるはずです。

検査時間

観察のみであれば約5分で終わります。

何らかの病変があった場合はこれをよく観察し、写真を撮って記録し、さらに生検をしますから、ここで時間が+1〜2分ほどかかります。

最大10分ほどかかると考えておいた方が良いでしょう。

 

胃カメラが苦しい検査と言われるワケ

「胃カメラは苦しい検査」「もう二度と受けたくない」など聞いたことがある方もいるかもしれません。

胃カメラでは検査前にまず喉の麻酔をするために薬液を喉に溜めますが、これがまずいです。

そして検査中は口からスコープを入れ、もともと狭い構造になっている喉を通過し、さらに観察のために胃に空気を入れて膨らませます。検査を受ける方が感じるのは「喉に大きな飴がつっかえた時のような違和感」、「お腹の張り」です。

それが検査中(5〜10分)続きますから、その苦痛は容易に想像できると思います。

仰向けになってじっとしていれば終わるCT検査、心電図検査などとはわけが違います。

 

鎮静剤を使った方が楽!

胃カメラ検査を楽に行うことはできます。

その方法の一つが、鎮静剤(意識をなくす薬)を使う方法です。

一般的には、点滴から鎮静剤を投与する「静脈麻酔」を用います。

※自発的な呼吸も止めて人工呼吸器を使って麻酔する「全身麻酔」とは異なります

麻酔が効くと眠ってしまうので、寝ているうちに(意識がないうちに)検査が終わります。そのため胃カメラを受けたことさえ気づきません。

検査方法は

  1. 喉の麻酔をする(この時は意識はある)
  2. 検査前に腕に点滴の針を刺しておく
  3. 点滴から鎮静剤を投与する
  4. 眠ったことを確認してから胃カメラを行う
  5. 鎮静剤の効果が切れ、目が覚めてから帰宅

という流れになります。

メリットは

✔︎ 寝ている間に検査が終わるので、苦痛を感じない

デメリットは

✔︎ 点滴の針を刺す時には痛みがある
✔︎ 人によっては例外的に鎮静剤があまり効かないこともある
(大抵の人は十分に効きます)
✔︎ 鎮静剤使用中にアレルギーや呼吸が浅くなる副作用がある
✔︎ 検査当日は自転車・車に乗れない
✔︎ 検査終了後に最低1時間ほど過ごして目が覚めてから病院を出なければならない

鎮静剤の使用では、どうしても薬を身体に入れるわけなので他の薬と同様にアレルギーや副作用のリスクはあります。副作用で呼吸が浅くなるのは不安に思う方がいるかもしれませんが、そうなった時にすぐに酸素投与できるように準備しています。

こう書くとデメリットが多いように感じられるかもしれませんが、苦痛を感じずに胃カメラを受けたい方は眠っているうちに胃カメラを受けられる “鎮静剤を使った胃カメラ” がオススメです。

「苦しいから二度と受けない」よりは、眠っているうちに検査してもらって定期的に「楽な」胃カメラを受けるようにすること、それが癌の早期発見につながります。それこそが最大のメリットと言えるでしょう。

鎮静剤は使いたくないという人は、細いスコープを使って違和感を軽減することもできます

「鼻から」の胃カメラです。

これについてはメリット・デメリットを⬇️の記事にまとめています。参考にしてください。

【楽に検査したい!】鼻からの胃カメラ メリットとデメリット

 

まとめ

✔︎ 胃カメラは胃癌の早期発見・早期治療に有効!
✔︎ 費用は3割負担で4000〜10000円ほど
✔︎ 検査時間は5〜10分
✔︎ 楽に検査を受けたい人は、鎮静剤の使用がオススメ!
 (寝ている間に検査が終わります)

苦しい胃カメラ検査はなかなか受ける気になれないという人も多いと思います。しかし検診を受けずに放置して、進行してから病気が見つかると大ごとです。

「楽にできるなら胃カメラを受けたい」という人は鎮静剤を使った胃カメラが受けられるかどうか、近くのクリニックや病院でぜひ相談してみてください。

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