【医師が解説】新型コロナワクチン3回目 効果や副反応を徹底解説

 

この記事を書いた人:
▶️ 黒沢哲生(千葉中央メディカルセンター) 医師

2021年11月に日本でも新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン2回目の接種を終えた人の割合が70%を超えました

そこで気になるのが3回目のワクチン接種についてだと思います

これはブースターとも呼ばれ、2回のワクチン接種に引き続き追加接種を行うことで発症・重症化の予防効果をさらに高めることを目的としています

海外ではイスラエルを先駆けとして3回目のワクチン接種が始まり、他国でも次々に3回目接種が開始されました。

今回は3回目接種(ブースター)の必要性・効果・副反応について、医学的に確実性の高い試験が載る雑誌として有名な『The New England Journal of Medicine』を元に詳しく解説します。

✔︎ 3回目接種(ブースター)はなぜ必要?
✔︎ 実際、効果はあるの?
✔︎ 副反応の強さは2回目と比べてどう?
✔︎ 日本ではいつ頃3回目接種が始まる?

今回はこのような疑問にお答えします

 

3回目接種(ブースター)を行う理由

2から3に反転する木製のブロックを持つcovid-19のためのmrnaワクチンのためのブースターショットのイラスト。注射器付きの2つの木製のブロック。 - ブースター ストックフォトと画像

新型コロナワクチン接種が世界で徐々に進み、規定の2回目の接種を終えた人の割合が増えてきました。

ウイルスの種類によっては2回接種しておけば生涯免疫が得られるものもあります。水痘(みずぼうそう)や麻しん、おたふくかぜなどです。

なぜ、新型コロナウイルスについては3回目接種の話題が出てきているのでしょうか。


2回目接種後、時間が経つにつれ感染予防効果が減少している

グラフ1

出典:BBC News Services Covid infection protection waning in double jabbed.

ワクチン接種が世界で最も進んでいる国のひとつであるイスラエルから注目すべき報告がありました。1)

2回のワクチン接種を終えた人においてデルタ株の出現時期と同じくして感染予防効果が64%まで低下したというものです。(しかし、入院や重症化の予防効果は93%で高い水準を保っていました)

これは感染力の強いデルタ株の出現・広がりの影響によって起こった変化かもしれませんが、ワクチンの効果減弱の可能性を示唆していました。

また、イギリスではファイザー製またはアストラゼネカ製ワクチンを2回接種した100万人以上のデータが収集され、2回接種1か月後と比較して5~6カ月後に感染予防効果が減少したことが示されました。2)グラフ1


2回目接種後、徐々に中和活性が減少している

グラフ2

出典:The New England Journal of Medicine Antibody Persistence through 6 Months after the Second Dose of mRNA-1273 Vaccine for Covid-19.

モデルナワクチンでは2回目接種の約2週間後をピークとして、その後徐々に中和活性が減少していくことが示されています。グラフ23)

中和活性は免疫の指標ですから、これが減っていくということは感染しやすくなることを意味します。

実際、ワクチン接種を完了した後に新型コロナウイルスに感染(これをブレイクスルー感染といいます)した医療従事者について調べたところ、感染する1週間以内に測定された中和抗体が感染しなかった人と比べて低かったことが報告されています。4)

新型コロナウイルスのワクチンは1回だけでは不十分で2回目を接種することで十分な抗体価が得られることから、予防効果が減少しても追加摂取すると感染予防効果が高まると期待されています。


まとめると、

✔︎ 接種後、徐々に中和活性が減少し、感染予防効果が減少している

✔︎ 追加接種によって感染予防効果の上昇が期待できる

そのため、感染予防力をより高めることを目的とした3回目接種が必要と言われているのです。

3回目接種(ブースター)の効果

では、3回目の接種をすると本当に感染予防効果が高くなるのでしょうか。

最初に3回目接種(ブースター)が始まったイスラエルにおける3回目接種(ブースター)の効果を調査した論文5)が発表されました。グラフ35)

※イスラエルではファイザー製ワクチンが使用されています

グラフ3

出典:The New England Journal of Medicine Protection of BNT162b2 Vaccine Booster against Covid-19 in Israel.

3回目接種を受けた人では、2回接種の人と比べて3回目接種の12日後から

感染率 : 11.3倍低下
重症化率: 19.5倍低下

したことが示されました

これは3回目接種(ブースター)によって感染予防効果が高まることを意味しています。

しかし、今回のデータは接種後約1ヶ月までの観察となっていて観察期間が短いという問題点があります

長期的な有効性については評価ができていません。現時点では情報が少なく、限られたデータのみで判断するのは問題があります。

長期的な効果についてはわかっていないと判断しておくのが良いと思います。

 

3回目接種(ブースター)の副反応

感じ悪いとスリープ状態にしようとしている女の子 - 寝る 発熱 ストックフォトと画像

ファイザー製3回目の副反応の頻度は2回目とほぼ同じ

18歳〜55歳までのファイザー製ワクチン3回目接種(ブースター)を受けた約300人の解析で、3回目接種後の副反応は

倦怠感 : 63.7%
頭痛  : 48.4%
筋肉痛 : 39.1%

と発表され、副反応の頻度は2回目とほぼ同じであることが示されました。6)

ただし、その副反応の強さなどのデータはここに示されておらず、今後新たな報告を待つ必要があります。

モデルナアームについて知りたい方はこちらも参考にどうぞ

モデルナアームとは 冷やす・塗る 自宅でできる対処法【医師が解説】

 

日本ではいつ3回目接種(ブースター)が始まるか?

カレンダーのクローズ アップ、ビジネスミーティングの計画テーブルの上の時計や旅行の計画コンセプト - カレンダー ストックフォトと画像

日本では3回目接種(ブースター)を行う時期について厚生労働省から発表がありました

2回目の接種が終わってから8ヶ月後の実施を検討しているようです

とすれば日本では最初にワクチン接種が行われた医療従事者や重症化リスクの高い高齢者が2021年末〜2022年始めくらいに3回目接種をされることになるでしょう

また、3回目の接種ワクチンは基本的に2回目までのワクチンと同種のものを使うことが推奨されています

しかし、世界に目を向けると先進国のコロナワクチン接種が早期に行われているのにも関わらず、多くの発展途上国ではまだ規定の2回目の接種すら十分に行えていないという現状があります

これを踏まえ、世界保健機関(WHO)は発展途上国にも新型コロナワクチンを公平に供給できるように、年内は3回目接種を見送るよう各国に要求しています

これを踏まえて厚生労働省がどう判断するか、今後の動向が注目されます

 

3回目接種(ブースター)は変異種にも効くか?

腹筋covid-19新しいラムダバリアント - 変異種 ストックフォトと画像

これは誰もが気になるところかと思います。

前述したイスラエルからの報告では3回目接種の効果があることが示されました。ただし、これは調査が行われた時点ではデルタ株が流行の中心であったことに注意する必要があります。

他の変異種にも効果があるのかについてはまだデータが集まっておらず判断できませんウイルスの変異パターンは様々で、今後ワクチン抵抗性のウイルスの出現などもあり得る話です。

今後の動向を注意深く見守るほかないでしょう。

4回目以降の接種もあり得るか?

新型コロナウイルスワクチン2回目接種後に徐々に中和活性が低下する(=感染予防効果が減少する)ことが示されています。3)よって、3回目接種以降も徐々に中和活性が低下することはあり得ると思います。

もちろん、これは3回目接種以降のブレイクスルー感染(ワクチン接種後に起こるコロナ感染)の動向や中和抗体価の調査をしていかないと判断できません。

現時点ではわからないしかしあり得ると思っておいた方がいいでしょう。

まとめ

・3回目接種(ブースター)を行う理由
新型コロナウイルスワクチン2回目接種後に感染予防効果が減弱する可能性が指摘されていますが、追加接種によって効果増強が期待できるため、3回目を行います。

・3回目接種(ブースター)の効果

先行して3回目接種を行ったイスラエルでは3回目後に感染率と重症化率が減少したという報告があり、効果はあると考えられます。
ただし、長期的な効果はまだわかりません。

・3回目接種(ブースター)の副反応

ファイザー製ワクチンについては副反応の頻度は2回目と同程度です。

・日本ではいつ3回目接種(ブースター)が始まるか?

2回目接種が終わってから、8ヶ月後の接種が検討されています(2021年9月現在)。

・3回目接種(ブースター)は変異種にも効くか?

まだ情報がなく、わかりません。

・4回目以降の接種もあり得るか?

3回目接種後もワクチンの感染予防効果が減少する可能性は否定できないので、あり得えます。
ただし、データはなくワクチン供給など他の様々な問題点もありますので、まだわかりません。


2回接種をした方の中で強い副反応が出た方もいらっしゃると思います。

3回目には不安もあるかもしれませんが、この記事を読んで少しでも新型コロナワクチンへの理解が深まれば幸いです。

まだまだ3回目のワクチンは世界でも始まったばかり。これからデータが次々と出てくると思いますので今後の臨床試験に注目です。

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この記事の参考文献
参考文献
1) Explanation About the Effectiveness of the Vaccine for Coronavirus in Israel.
https://www.gov.il/en/departments/news/06072021-04
2) Covid infection protection waning in double jabbed
https://www.bbc.com/news/health-58322882
3) Antibody Persistence through 6 Months after the Second Dose of mRNA-1273 Vaccine for Covid-19
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmc2103916
4) Covid-19 Breakthrough Infections in Vaccinated Health Care Workers
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2109072
5) Protection of BNT162b2 Vaccine Booster against Covid-19 in Israel
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2114255?query=featured_home
6) Side effects from Covid vaccine boosters are similar to second dose, Pfizer tells FDA
https://www.cnbc.com/2021/09/15/covid-boosters-pfizer-releases-new-data-showing-side-effects-are-similar-to-second-dose.html

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