この記事を書いた人:
▶️ 黒沢哲生(千葉中央メディカルセンター) 医師
病院っていつ行っても混んでいるけど…
空いている日や時間帯ってあるの?
今回はこんな疑問にお答えします。
病院っていつも混んでいるイメージありませんか?
待ち時間が長くて、いつ自分の番が来るのかと気が立ってしまう方の気持ちもわかります。でも実は、外来が「空いている日・時間」は確かに存在しているのです。
もちろん病院によって多少異なりますが、
どんなクリニック・病院、診療科であっても外来が空く理由は同じです
私は市中病院で働いている現役の内科医ですが、これまで非常勤勤務を含めると大学病院を含め合計6ヶ所の病院での勤務歴があります
ですので、病院の外来が空いている日・時間について実際の経験と病院の実情に基づいて割と信頼性の高い情報をお伝えできるのではないかと思っています
病院の空いている時間を教えて欲しい
病院が混んでいる時期は避けたい
このようなご要望の参考になる記事です
目次
病院が空いている日・時間は?【ズバリここが狙い目です】
まず結論を最初に言います。以下が狙い目です。
- 空いている【時間】:朝一番 または 午前10時半頃、午後4時頃
- 空いている【曜日】:火曜日〜木曜日
- 空いている【季節】:暖かい季節(春〜夏)
- 空いている【天気】:雨
ではなぜここが空いているのでしょうか。
病院・クリニックが混む理由と一緒に解説していきます
病院はなぜいつも混んでいる?
病院の待ち時間ってとても退屈ですよね。
いつ呼ばれるのかわからないですし、気持ちも落ち着きません。
普段、病院で消化器内科医として勤務している私も
患者さんを待たせないように気を使いながら診察しています。
しかしほぼ毎日病院の外来は混み合っており、長い時間お待たせすることもしばしばです
なぜ病院の外来はいつも混んでいるのでしょうか
それは診察に時間がかかるからです
重大な病気を見逃さない
診察室では医師は丁寧に患者さんの話をお聞きして、しっかりと診察する必要があります。
これは診察室である程度診断をつけ、重大な病気を見逃さないようにするためです。
考えられる診断によって、その後必要になる検査が全く異なります。
初手を間違えてはいけないので、
【話を聞いて診察する】という作業を決して医師ものんびりやっているわけではなく、
最初の診察は時間をかけて丁寧に行っているのです。
患者さんの不安を聴く
体に異変が起こると誰しも不安になるものです。
例えばお腹が痛くて食事も十分に取れなくなっているとき、
早く治したい、早く検査をしてほしい
大きな病気だと嫌だな…
もしかして手術が必要?
などいろんな想いが出てきますよね。
これは医師の私でもそうです。本当に自分の判断が正しいのか、いつまで症状が続くのかは病院で検査して経過を観ないとわかりません。
ですから、患者さんはなおさら不安なことでしょう。その不安に耳を傾け、病気の知識について情報提供する必要があります。
また、医療は不確実性の学問です。わからないこともあるし、100%治るということは絶対に言えません。いつ治るかも推測はたちますが、実際には神様しか知り得ないことなのです。
これを患者さんの気持ちに寄り添いながらお話するとやはり時間がかかります。
これは医療に必要不可欠なことです。しかしその分他の患者さんの待ち時間が増えてしまうことになります。
病院の待ち時間はどのくらい?
病院の外来の待ち時間は予約しているかどうかで大きく異なります。
また、もちろん診療科や病院の規模、クリニックですと人気の有無にもよります。
それらを総合して、外来の待ち時間の目安を示したものが下のグラフです。
画像出典:厚生労働省発表 平成17年 受療行動調査の概要(確定) 診察までの待ち時間・診察時間(外来患者のみ)
再診(予約あり)の場合
予約時間に診察をする約束になっています
医師も極力それを守ろうとしますので、予約している再診の方を優先的に呼びます
同じ時間に来た【予約なし】の方よりも待ち時間が少なくなります
少し古いデータですが、厚生労働省の調査では予約ありの方の平均待ち時間は1時間未満が8割弱です。
しかし約2割の方は1時間以上待っていることがわかります。
初診・再診(予約なし)の場合
予約がない場合は待ち時間が増えます
基本的に受付した順に診察室に呼ばれますが、予約した方が優先となります
初めて病院に行く方、再受診であっても予約がない場合は診察室に呼ばれるのに時間がかかります。
上のグラフでも、予約していない場合は長時間待つ割合が高いことがわかります。
【予約なし】の場合は1時間以上待つ方が3割を超えます。
近年、クリニックでもネット予約を受付しているところが増えてきました。待ち時間を減らすためにぜひネット予約を利用してみてください。
緊急性が高い症状の場合です。
緊急性の有無は医師の判断となりますが、この場合は早期治療の必要があるため優先的に診てもらえます。
強い症状がある場合は受付で遠慮せず伝えるようにしてください。
空いている【時間】
はじめに、診察予約ができる方はなるべく予約しましょう。
前述の通り予約した方が待ち時間は少なくなります。
結論を言うと、外来は午前の方が混んでいます。
その中でも狙いの時間を病院の規模別にお話しします。
地域の大きな病院【狙いは朝一番 または 午前10時半頃】
午前しか外来を受付していない病院が多いため、午前に絞ってお話しします。
まず、皆さんが目をつけるのが朝一番です。
もちろん朝一番に受付すると基本的には一番に診てもらえますが、
競争率も高いのであまりおすすめできません。
年配の方で、かなり早い時間から受付の前で待っている方もおられます。
初診と再診ともに診察している病院では
どんなに早く受付しても再診の方が優先となります
そのため朝一番で受診しても先に再診の方を及びするため結果的に待ち時間が長くなってしまうこともあります。
そこで、競争を避けたいのであれば午前10時半頃がおすすめです。
この時間帯は朝早く受付に並んだ方の診察が終了し、再診の方もある程度診察が進んでいます。
10時半頃に受診すると診察待ちの患者さんも減っているため、待ち時間は少なくなります。
実際、私の外来で最も待ち時間が少ない初診の患者さんは10時半頃に受付した方です。
注意:もちろん日によって違います。
遅い時間に受診すると診察した日に検査できず、後日また受診を指示されてしまうこともあります。できれば受付終了時間ギリギリの受診は避けると良いでしょう。
クリニック【狙いは午前10時半頃 または 午後4時頃】
クリニックでは午前・午後を通して外来を開いていることが多いです。
午前は混みますので、症状が強くなければ午後に受診するとよいでしょう。
午前 【狙いは午前10時半頃】
大きな病院と一緒で、待ち時間が少なくなるのは午前10時半頃です
診察待ちの方が減るこの時間を狙いましょう
午後【狙いは午後4時頃】
午後は子どものお迎えや料理の準備をする方の受診が減ってくる午後4時頃が狙い目です。
受付終了時間ギリギリに行くと、駆け込みの方もいるため混んできます
終了時間30分〜1時間前は避けるようにしましょう
症状が強い時はできれば朝一番に受診しましょう。
空いている【曜日】
平日 【狙いは火曜〜木曜】
土日は休診のクリニックが多いため、週末に体調を崩した方は月曜に受診されます
そのため月曜日の外来は最も混みます
火曜〜木曜になると外来は空いてきます
ただし、木曜は多くのクリニックが休業していることもあって、木曜に開いているクリニックは少し混むかもしれませんので要注意です。
金曜は休み前になりますので混みます
週末に薬が足りなくなる方、週末の大事な予定のために体調の相談をしたい方などが増えますので、月曜日ほどではないですが外来は混んでいます。
よって、平日の狙い目は、火曜日〜木曜日です
土日・祝日 【⚠️かなり混みます】
土日・祝日は会社が休みとなる人が多く、また休診のクリニックも多いです
そのため、土日・祝日に開いているクリニック・病院の外来はかなり混み合います
待ち時間を少なくしたい場合は、できるだけ受診を避けましょう
大型連休は休診のクリニック・病院がほとんどですから、連休前後は患者さんが殺到します。症状が落ち着いている場合は、この日を避けて余裕を持って受診するようにしましょう。
空いている【季節】
これは診療科によって異なりますが、一般的な内科のクリニックでは体調を崩す方が多い時期に混み合います。
風邪を引く方は暖かい季節に少なく、冬になると増加しますので、
空いている時期は春〜夏、混んでいる時期は冬です。
特にクリニックではインフルエンザ予防接種がある時期は混みます。多くの方が接種するため受診しますので、11〜12月は待ち時間が長くなりがちです。
定期検査の方は春〜夏の時期に受診するようにすると待ち時間が少ないと思います。
空いている【天気】
天候によって外来受診者数は大きく変わります。
雨の日は受診を控える人が多いため、外来は空きます。
また、夏の暑い日のお昼近く、冬の寒い日・雪が多く降る日の朝は空いています。
台風の場合、進路予想がニュースになります。
台風が来る前日は駆け込み受診が増えるので病院の外来は混み合います。
もちろん、台風の日は空いていますが、外出に危険が伴いますから余程の症状でない限りは受診も控えた方がよいと思います。
受診を急がない場合は天気を参考に日を選ぶのも良いと思います。
しかし、雨の日は足元が滑りやすいですし、夏の日中は熱中症の危険性、冬の朝は路面の凍結などの問題もあります。
無理せず受診するようにしましょう。
まとめ
病院の外来が空いているタイミングをまとめます。
・空いている【曜日】:火曜日〜木曜日
・空いている【季節】:暖かい季節(春〜夏)
・空いている【天気】:雨
症状が落ち着いている方、病院で待ちたくない!という方は、
空いているタイミングに病院を受診してみてください。
また、病院の待ち時間は予約することで短くできます!
ぜひ最近クリニックなどで導入されているネット予約を活用しましょう。
症状が強い方は医師の判断で優先的に診てもらえます
空いている時間を選ばず、なるべく早く受診するようにしてくださいね。
この記事が参考になれば嬉しく思います。
自宅でどのように療養したらいいかについても医師の立場から詳しく解説しています。
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