【消化器内科医が解説】大腸CT検査(CTコロノグラフィ)とは? 大腸カメラとの違いと注意点

この記事を書いた人:
▶️ 黒沢哲生(千葉中央メディカルセンター) 医師

最近よく聞く大腸CT検査(CTコロノグラフィ)ってどんな検査?

大腸カメラより楽って本当?

大腸の検査には大腸CT検査と大腸カメラどっちがいいの!?

本記事ではこんな疑問にお答えします

 

大腸がん検診として行われる便潜血検査。この検査で「要精査」となり大腸カメラを勧められたことがある方も多いのではないでしょうか。

私はお腹の病気(胃腸)を専門とする消化器内科医として

日々大腸カメラを行っています

最近、大腸CT検査(CTコロノグラフィ)が普及し、大腸カメラにとって代わる検査になるのでは?と期待される方もいるかと思います

大腸CT検査のメリットとデメリットをわかりやすく解説します


大腸CT検査(CTコロノグラフィ)とは? 大腸カメラとの違いと注意点

まず大まかにまとめると、大腸CT検査(CTコロノグラフィ)は大腸カメラと比べて

  • 大腸カメラで痛みを伴う人にとって、苦痛が少ない
  • 飲む下剤の量が少なめでOK
  • 大腸外も画像に映るので腸管外の病変を見つけられる
  • しかし、平坦な腫瘍や小さい病変の診断精度が劣る
  • CTなので被曝の問題がある

といった特徴があります

 

大腸カメラと大腸CT検査、どちらを受ければ良い?

では大腸カメラか大腸CT検査、どちらを受けるのが良いのでしょうか?

結論から言うと、人によって異なります

後で【大腸CT検査がおすすめなのはどんな人か?】についてもご紹介します

その前にまず、大腸CT検査の特徴をくわしくお話しします

大腸CT検査(CTコロノグラフィ)とは

大腸CT検査(CTコロノグラフィ)とは

大腸を炭酸ガスで膨らませた上でCT撮影して大腸の3次元画像を作って
大腸内の病変を見つけ出す検査

です

大腸カメラとは違い、大腸内に内視鏡を挿入せずに

大腸内を画像化することができます

撮影の流れ:

  • ①前日は消化されやすい食事をとる
  • ②下剤を飲む(大腸カメラと比較し少量でも良い)
  • ③CT検査室で直腸チューブ(約5cm)を入れて炭酸ガスを注入
  • ④うつ伏せ、仰向けの2パターンの画像を撮る

検査時間は約10分

注入された炭酸ガスは短時間で体内に吸収され、

お腹の張りもそこまで強くありません。

✔︎ 前日の食事を変更しなければならない
✔︎ 下剤を飲む必要がある

ことなどは大腸カメラと変わりません

しかし、大腸カメラを入れずに画像化できるため、

様々な理由で大腸カメラを受けられない患者さんにはとても良い検査です

【メリット】大腸カメラより楽?

メリットとデメリットのバランス - メリット ストックフォトと画像

大腸CT検査(CTコロノグラフィ)のメリットは

  • 腹部手術歴があり大腸カメラで痛みを伴う人にとって、苦痛が少ない
  • 飲む下剤の量が少なめでOK
  • 大腸外も画像に映るので腸管外の病変を見つけられる
  • 大腸カメラで見落としがちな大腸ひだ裏の病変も見つけられる
  • 大腸穿孔など合併症が少ない

になります

大腸カメラは大腸の中へスコープ(直径1cm)を入れて観察するので

人によっては痛みを伴います

特にお腹の手術歴があって腸の癒着がある人では

大腸カメラは痛みを伴うことが多いです

痛みが強く出る人の場合

お腹への負担が少ない大腸CT検査の方が楽に検査を受けられるでしょう

下剤の量が少なくても良い(約半分)など

検査を受ける人にとっては嬉しいこともあります

 

しかし、大腸カメラよりも劣る点もあって注意が必要です

【デメリット】大腸カメラよりも劣る点

ビジネスマンメリットとデメリットを考える - メリット ストックフォトと画像

大腸CT検査(CTコロノグラフィ)のデメリットは

  • 平坦型の病変(平べったい腫瘍)の診断精度が劣る
  • 約5mm以下の小さな病変の診断精度が劣る
  • 細胞・組織を採取できない
  • CT検査なので放射線被曝の問題がある(妊娠している方は受けられない)

になります

 

そのためポリープが疑われたときは

結局大腸カメラによる検査が必要になります

 

また、これは大腸カメラも同様ですが

飲んだ下剤がうまく効かず便が残ってしまっているとき

映ったのが便かポリープか判断しかねる場合があります

大腸CT検査(CTコロノグラフィ)がおすすめな場合

doctor showing ct scan to patient - ct ストックフォトと画像

一度も大腸カメラを受けたことのない人は

診断精度や組織検査のことを考えると

まずは大腸カメラを受けることを勧められるのではないかと思います

 

一般的に医師から大腸CT検査(CTコロノグラフィ)を勧められるのは

・大腸カメラを受けられるほど下剤が飲めない高齢者
・お腹の手術歴があって大腸カメラで強い痛みを伴う方

などです

大腸カメラと大腸CT検査については前述のような

メリット・デメリットがありますので、

病院で主治医とよく相談してどちらを受けるか決めてみてください

大腸カメラを受けた方が良い場合

バイタルサインと医療記録を持つ医師およびホログラフィック腸スキャン予測。新技術の概念、ボディスキャン、デジタルx線、腹部器官、現代医学。 - お腹 ストックフォトと画像

外来で大腸カメラを患者さんにおすすめするのは以下のような場合です

・大腸がん検診で便潜血(+)
・便秘が続く(特に40歳以上)
・下痢が3週間以上続く
・血便が出る
・腹痛やお腹の張りが続く
・貧血がある
・体重が急に減った
  ・・・

細かいことを言えばここに書ききれませんが、

主にはこのような場合です

 

これらの症状があるとき、大腸がんを含め

すぐに治療が必要な病気が隠れている可能性があります

 

これら1つでも当てはまる場合は

お近くの病院を受診して先生と相談して

大腸カメラを勧められたらぜひ受けるようにしてください

大腸カメラは恥ずかしい?苦しい?

北部の鷹フクロウ - 照れる ストックフォトと画像

大腸カメラが必要だとはいえ…

  • 下剤がまずい
  • 先生にお尻を見られてしまう
  • スコープを入れていくときに痛い

など気にされる方が多いのではないでしょうか

 

残念ながらこれらは否定できません

下剤は確かに美味しくないですし、

大腸カメラは人によっては痛みを伴います

 

大腸カメラを楽に、安心して受けるために

でもちょっと待ってください

これらを解決するために

  • 下剤の味を変える
  • 女性医師を指定できる
  • 鎮静剤・鎮痛剤を使い、眠っている間に検査する

といった工夫をしている病院が増えてきています

私が普段勤務している病院でも必要であれば鎮静剤・鎮痛剤を使用しながら検査していますよ

まずは検査をできるだけ楽に行えるよう工夫している病院をホームページなどから探すことをおすすめします

 

大腸検査を勧められたらぜひ受けて!【無駄な検査は勧めない】

ですから大腸カメラを医師から勧められたらぜひ受けてほしいと思います。

以前に大腸カメラを受けてつらい経験をされた方は

・鎮静剤・鎮痛剤を使用して大腸カメラを行う
・大腸CT検査(CTコロノグラフィ)を行う

などの方法があります

大腸カメラや大腸CTを受けずに病気を放置したら、

例えば大腸がんが進行して見つかることになるかもしれません

その場合、手術や抗がん剤治療など

さらにつらい治療を受ける必要が出てくるかもしれないのです

女性医師 - 医師 ストックフォトと画像

検診で異常を指摘された時、症状が出た時は

身体が病気を教えてくれているのかもしれません。

 

もちろん検査をして異常がないと言われることもあり得ます。

でも、がんなど大きな病気がないことがわかることは診断に向けて大きな一歩です。

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異常がなければ安心できる

というのも検査を受ける大きなメリットの一つなのです

 

何か症状を抱えている方は不安のまま過ごそうとせず

ぜひ必要な検査をしっかりと受けるようにしてくださいね

 

今回はここまでとします

みなさまが安心で健康な毎日を過ごせますように

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